
今回ご紹介するのは、おもちゃコンサルタント・木育インストラクターとして活動している柳澤由香利さん(柳沢木工所)です。
長野県松本市四賀(旧四賀村)。
マツタケの産地でもある豊かな里山が、柳澤由香利さんの原点です。
幼少期は祖母と山に入り自然と親しんでいましたが、大人になり「柳沢木工所」の社長である夫と結婚。
事務のほか、イベント等で木工所や「木育」の魅力を伝える役割を担うようになり、再び「木」との暮らしが始まりました。
柳澤さんの木育活動を加速させたのは、車好きな息子さんの存在でした。
「チャイルドシートでも運転を楽しめるように」と木製ハンドルの試作を始めますが、最大の壁は当時3歳の息子さん。
「太いからヤダ」「重いからヤダ」と、小さな手で何度もダメ出しをする厳しい“監修者”でした。
親子で試作を重ねて完成した『おでかけ♪どこでもハンドル』は友達の間でも大人気になり、見事「グッド・トイ2017」を受賞。
翌年には、地産材のアカマツを活かした『ぱんけい樹』で「グッド・トイ2018」を受賞しました。
素材には、松本のアカマツやヒノキなどの間伐材を使用。
針葉樹特有の軽さと、温かみがあります。
手触りや香りをそのまま五感で感じてほしいからと、あえて無塗装で仕上げました。
受賞をきっかけに、息子さんと初めて東京おもちゃ美術館の授賞式に参加した柳澤さん。
そこで「帰りたくない!」と夢中で遊ぶ息子の姿を見て、おもちゃの素晴らしさに感動し、すぐにおもちゃコンサルタントの資格を取得。
さらに木のおもちゃを広めるため、木育インストラクターも取得しました。
講座での驚きと発見は多く、なかでも心を掴まれた「なんの木クイズ」は、現在自身のワークショップで「長野版」としてアレンジし、地域の子どもたちに届けています。
現在は、長野県が推進する地産地消の取り組み「しあわせバイ信州運動」の出前講座などで小学校を巡り、木育の授業も行っています。
子どもたちからの「木は切っていいの?」という素朴な疑問に対し、柳澤さんは主伐と間伐の違い、長野県には樹齢60〜70年の「切り頃」の木がたくさんあること、適切に使うことで山が健康に蘇る循環などを、科学的根拠を交えて丁寧に解説します。
授業やワークショップでは、こすることで木目を綺麗に見せる体験や、松枯れした木材の再利用なども行い、大人たちへも森の循環の大切さを伝えています。
柳澤さんは、日本を、資源を賢く使いこなす“森林活用大国”にしたいと語ります。
「作り手はお客様の『こういうものが欲しい』という要望があって初めて商品を作ることができます。まずは使う人(特に大人たち)に木育を知ってもらい、木を暮らしに取り入れる『要望の声』をあげてもらうことが何より重要なんです」
水分を含む木材は、乾燥させて使えるようになるまでに数か月から数年寝かせる時間が必要です。
時間と手間がかかる貴重な県産材だからこそ、その価値を知り、愛着を持って消費される循環を作りたい。
柳澤さんの熱い想いは、今日も木を通じて多くの人の心へ温もりを届けています。
柳澤さん(柳沢木工所)が製作し、グッド・トイを受賞したおもちゃはこちらからご覧いただけます!


